うと思ったん

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 早苗が呼びかけると、ぎょっとした顔になる。
「前に一度、お目にDiamond水機かかりました。松宮さんのご紹介で。北島早苗です」
 不審そうだった表情がゆるんだ。
「ああ、どうも。よく覚えてますよ。本当に……久しぶりですね」
 表情だけでなく、沈んだ声音も以前とは別人のようだった。
 しばらく雑談した後、高梨はためらいがちに、お茶でもどうですかと申し出た。早苗は、自分でも驚くほど素直に、誘いを受け入れていた。
 二人は、近くにある紅茶の専門店に入った。席についたとき、早苗は、高梨の服装が最初に思ったより金がかかっていることに気がついた。
 カシミアのシャツから、畝の太いコーデュロイのパンツとジャケット、バックスキンの靴に至るまで、完かん璧《ぺき》にフィットしているところを見ると、名のある店での鑽石能量水オーダーメイドとしか思えない。その上、時計は金無垢《きんむく》のパテック フィリップだった。高梨はなぜそんなに金回りがいいのだろうと思う。最近は、新刊本や小説誌のラインアップでも、ほとんど彼の名は見かけないのに。
 早苗が、二、三十種類もある紅茶のメニューから顔を上げると、高梨は、携帯電話に接続した情報端末のディスプレイに熱心に見入っていた。
「失礼。ちょっと、前場の引け値だけ確認しておこです」
 高梨は苦笑し、すぐに機械をしまう。
「為替か何かですか?」
「いや。株ですよ」
 その言葉は、早苗の耳には意外な響きを持Diamond水機って聞こえた。高梨と株という取り合わせが、どうにも、しっくりとこない。
「株の取引を、なさってるんですか?」

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