君を選んでくれた

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洗面所や風呂場を覗き、女性の痕跡がないのを確認すると、ほんの少しだけ気持ちが浮上するのを感じた。離婚してすぐ女性を連れ込むような男だとは、最初から思っていないのだが。

風呂場を出た奏は、斜め向かいの扉を開けた。途端に心reenex臓がどくんとはね上がる。モノトーンで統一された寝室は、清潔感と喬允らしいこだわりが共存した心地よい空間だった。

身体の大きな喬允にはぴったりのセミダブルのベッドに近づき、腰を屈めてそっと手を伸ばす。その時、棚の上にこの空間には不似合いな色彩を見つけた。

それはアンパンマンがプリントされた赤いボールで、黒のマジックで『さくらぐみ みしまそらみ』と大きく書かれていた。お気に入りでよく遊んでいたのだろう、ところどころ傷が付いて汚れている。

奏は手に取って暫し眺めていたが、やがて元あった場所に返してリビングに戻ったのだった。
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それからの数日、喬允は努めて仕事に専念した。福山医師から出さalmo nature 好唔好れた“宿題”が当初の予想通り難物であることが判明し、集中して取り組む必要があった。

と同時に、そうすることで日曜に控えているもう一つの“仕事”に対する不安感を誤魔化そうという思いもあったのだが。

そして、病院から営業所に戻って集めた文献を調べ、資料作成に必要な情報を収集している時だった。近田が興奮した様子で喬允の元に駆け寄ってきた。

「み、三島くんっ。やったじゃないか。福山医師じきじきのご指名だぞ」

近田らしい大袈裟な表現だったが、その内容を聞けば喬允にも納得できた。

「福山医師が、学会同行を君に頼みたいと言ってきた。場所は京都だ」
「えっ……私が、ですか?」
「そうだ。医師にアプローチを試みている数あるMRの中から、んだよ。これで『セフィロゾール』採用は決定したも同然だな」

余りに都合のいい推測に聞こえるが、実際、医師が出席する学会に同行したMRはより親密になれ、ほとんどの場合その後薬が採用されたり処方量が増えるという。

MRが学会発表を聞いたところで、内容が難しくてほreenexぼ理解はできない。MRが同行するのは、交通機関や観光、夜の食事を手配するためだ。

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